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第66代理事長 大谷健輔

一般社団法人 四日市青年会議所 2020年度スローガン 本質の追求~経験に意義を見出し、行動に移そう~一般社団法人 四日市青年会議所 2020年度スローガン 本質の追求~経験に意義を見出し、行動に移そう~

はじめに

私が高校三年生で大学受験に向けて勉強漬けの毎日を送っていた時、ふと疑問に思った。

どうして自分は勉強しているのだろう?

何故、人間は勉強しなければならないのだろう?

私は、この時、人生で初めて自分の行く末に迷った。

胸に刺さった疑問に対してそう簡単には答えがでなかった。

その答えのきっかけを掴めたのは、2015年だ。私は四日市青年会議所の委員長として活動していた。多くの人に支えられ、同時に多くの人と衝突を繰り返した。自分の考えているまちをよくしていきたいという気持ちが、どうして他の会員に伝わらないのか。自問自答を繰り返した。だが、ある瞬間に気が付いた。果たして、自分は物事の「本質」を掘り下げ、深く理解し、伝えようとしているのか。うわべだけでわかった気持ちになり、委員長としての仕事を「こなそう」としていないか。

私は、深く考え調査を重ね、「本質」を追求し、もう一度自分自身のこれまでの青年会議所活動、ひいては人生について見つめ直した。その結果、私なりの「本質」に辿り着いた時、世界が変わって見えた。自分の伝えたかったまちに対する問題を、しっかり自分の言葉にして伝えられるようになり、これまで説得できなかった人を説得できるようになった。

私は高校生の時、疑問に思った問題について再び考えた。

考えを巡らせることによって、私は私なりの「本質」を得た。その時、胸に残っていた疑問が解けた気がした。

「本質」を追求すること、それは人生において重要な意味を持つ。「本質」の追求は、自分自身に変化を起こし、周囲を変えていく力となる。

将棋のプロ棋士羽生善治氏は、永世七冠を達成した際の記者会見で「将棋そのものを本質的にわかっているかというと、まだまだ何もわかっていないというのが実情」と語った。これは、本質追求に終わりはなく、だが、本質を追求し続けているからこそ、羽生氏が偉大であり続けている事実を象徴する発言である。

人は、時に迷い、時に躓き、時に見失う。

だが、「本質」を追求していれば、自分なりの「本質」を得ていれば、それでも力強く前に進める。

「本質」を追求しよう。

力強い人間となって、明日を切り拓いていこう。

創立65周年

四日市青年会議所は、創立当初から明るい豊かなまちの実現に向けて活動を続けてきた。戦後復興の激動の時代に志を持って四日市青年会議所を立ち上げた諸先輩方の想い描いたまちの姿と、今、我々が目の前にしているまちの姿は果たして同じものだろうか。我々は、今一度立ち止まって四日市青年会議所について、ルーツを探り、過去を振り返り今の我々の活動を顧みる必要がある。
我々は、2015年、四日市JCビジョンを策定した。これは2015年から2025年までの10年間における活動に対する指針となるものだ。65周年を迎えるにあたり、このビジョンに基づき活動を振り返る場を設けるとともに、改めて四日市JCビジョンに掲げられている「笑顔あふれる人々と魅力あるまち」四日市の実現に向けて2025年までの活動の指針を示していこう。そして、明るい豊かな5年後の社会を思い描き、実行に移していこう。

青年会議所の本質を追求する会員拡大

青年会議所が、設立当初から常に継続している唯一の事業は、会員拡大である。青年会議所の会員と志を同じうする青年は、能動的にまちに影響を与えようとする市民であり、そういった同志を増やすことが、能動的な市民を増やす結果となりまちを活性化させることにもつながる。会員の拡大に特効薬はない。全会員が、会員拡大はまちの活性化につながるのだと理解し、そこから地道な活動を続けることが何よりも大切だ。会員一人ひとりが、青年会議所の本質を追求し、青年会議所における自身の役割を考え、地道に活動を続けることができれば必ず我々は新しい同志と出会える。
会員拡大と、青年会議所の本質を追求する、これは両輪であり、本質を語れば会員拡大も可能になる。また、逆に会員拡大をしていれば自ずと青年会議所の本質に近づける。会員拡大を行うために青年会議所の本質を追求し、それを伝える技術を磨き、手段を明確に持ち、新しい同志を数多く迎え入れよう。その先には、日々、青年会議所の本質を語り合い、まちに対して能動的に影響を与えようとする会員があふれる力強い四日市青年会議所の未来がある。

持続可能なまちの魅力を創造する

まちづくりの本質は人口の増加にある。人口とその増減は、様々な面において、まちの力を示すバロメーターとなるからだ。人口の増加には二種類ある。外部からの人口流入と出産による増加だ。四日市市の人口は平成29年から平成30年にかけて微増となったが、その人口増加は人口流入によるところが大きい。一方で、人口の転出は例年学生が進学する4月から5月にかけて大きく、出生率は徐々に減少傾向にある。つまり、四日市におけるまちづくりの基本は、人口の転出を抑え、出生率を高めること、あるいは学生が進学先からこのまちに戻ってくる、戻りたくなる魅力あるまちになることにある。それが、まちの未来を創造することにつながる。
SDGsの理念にもあるように、これからは持続可能な社会を目指していかなければならない。人口増加は、まちの持続可能性にとってもっとも重要なファクターである。中でも、人口の転出を防ぐには、より、我々のまちが魅力的になっていかなければならない。近年、SNSの発達などにより魅力の発信は容易に、多くの人が行えるようになった。だからこそ、これからの時代は発信だけでは不十分だ。我々は、これまで多くの提言をまちに行ってきた。そこから、我々自身で選び取り、自らまちの魅力を創造していかなければならないのだ。まちの魅力が新たに創造され、一人でも多くの人がまちを愛し、まちを誇りに思えた先に、人口が増え続ける持続可能なまちが実現される。

思考力に富んだ青少年の育成

AI、人工知能の到来は時間の問題である。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した研究によると、あと10年か20年でアメリカの現在の仕事の47%がコンピュータやロボットに補われると予測している。それは決して対岸の問題ではなく、日本においても、あるいは産業のまちとして発展してきた四日市においても近い将来にそうなっていく可能性が高い。人間のやっている作業が人工知能によって代替可能になる社会が来るのは間違いがなく、人間がどのようにAIと共存していくのかが問題となってくる。
そういった時代の中、人間がAIと共存し自律して生きるための武器は思考力に他ならない。思考力に富み、管理されなくても与えられた問題を解決できる自律した人間が、これからのAI社会に必要とされるようになる。思考力を育む上で大切な時期は、子ども時代にある。子ども一人ひとりの本質、つまりは生まれ持った性格や何に興味があり、何をしたいと思っているのかを我々大人が観察し、見抜き、導いていくことだ。大人が子どもに教えると同時に、大人は子どもから学び良き援助者になること。それが、思考力に富んだ青少年の育成となり、これからの時代に求められる人財へとつながっていくのだ。

青年会議所会員としての品格と人格向上の追求

青年会議所が設立された当初から、青年会議所会員となるための条件の一つは品格ある青年であることである。では品格のある青年とは何だろうか。それは、礼儀や節度や人徳、気高さに富む青年であるということだ。古代ギリシャの哲学者アリストテレスの著作「弁論術」に、リーダーが人を動かすための三要素が記されている。論理、情熱、最後に人格だ。この三つの要素を感じた時、人々は話に納得し、感動し、信頼できると思い主張を受け入れる。だからこそ、我々青年会議所の会員は、普段の行動から誠実な信頼される人柄と行動を持って人格を示し、あの人の、あの組織のやることであるならば聞いてみようと思っていただくことが重要なのだ。
青年会議所会員として常に、我々はいつも外からの目を意識しなければならない。65年の歴史を持つ四日市青年会議所は、様々な形でまちに関わってきているが、今まで以上にまちに対して影響力を増していくためには品格ある青年の団体であることが、周囲からは求められているのだ。四日市青年会議所会員として、組織の名に恥じない行動、あるいは新しい時代に向けて、我々自身が周囲から信頼される青年会議所の会員像を作り上げていかなければならない。

両国の本質的相互理解のための国際交流

IMD世界競争力ランキングにおいて、日本の総合順位は低迷しており、その中でも起業家精神と国際経験の評価が低い。我々の身近な問題に目を向けても、労働力不足を外国人労働者によって補ってもらわなければならない状況やビジネスの相手を海外に求める傾向は年々強まっている。国が違えば、考え方が大きく異なり、故に世界は常に様々な考え方で溢れている。だからこそ、SDGsのような世界が共通して目指せる目標が必要になったのだ。世界は多種多様な思想や風習で溢れているのだという国際的な感覚を早急に身に着ける必要がある。
青年会議所は、国際の機会を多く提供してくれる。とりわけ、四日市青年会議所は姉妹JCである雨港國際青年商會と親密な交流を続けている。雨港國際青年商會との交流は本年で35周年を迎える。この記念すべき年を祝うとともにお互いに交流を深めることによって、国が違えば考え方も風習も全く異なるのだという国際経験を積むことができる。国際交流は、お互いの国の歴史と現状を理解し、その風習等を尊重し、理解に努めることから始まる。お互いが何を大切にしているのかを学び、お互いの国の問題を本質的に理解し、交流を深めていくことが、我々の国際経験を豊かにしてくれる。国際経験を深め、これからの社会に必要とされる人財になっていこう。

青年会議所運動の本質を伝える、時代に即した広報活動

近年、インターネットの普及によりメディアの状況は一変している。速報性の高いテレビ、詳細に報じる新聞、雑誌とメディアの住み分けがはっきりしていた以前とは異なり、すべての性質を内包したインターネットの登場は、あらゆる場面において広報の概念を一変させた。更に、インターネットにおいても、スマートフォンの普及に伴い目まぐるしい変化がある。わざわざ新聞を広げ、テレビを見なくても、あるいはパソコンの電源を入れなくても、現代の人々は即座に手元のスマートフォンでインターネットに接続でき、必要な情報を手軽に収集し、発信もできる。手軽に情報に触れられる世の中であるなら、我々も手軽に手に入るように情報を発信していかなければならない。我々は、常に、広報について研究を重ね、時代の流れに即した広報活動を展開していく必要がある。
 青年会議所運動の本質は、ただ事業を行うことにあるのではない。それがどのような背景でどのような目的のもとに行われ、結果、どのような効果をもたらすのかが重要なのだ。それらを正確に、かつ誰にでもわかるように、手に入りやすいように発信することが、これからの時代に求められる広報である。

四日市青年会議所を伝える広報

四日市青年会議所の名前は広く認知されてきていますが、何を行っている団体であるかはまだ広く理解されてきたとはいえません。広報(PR)を意味するPublic Relationsを直訳すると「社会と人々との関係」となります。すなわち、社会の人々に我々の運動を理解してもらうことで信頼関係を築き、最終的にはファンになってもらうコミュニケーション活動が広報であります。宣伝や広告のように単に情報を事前に発信し、たくさんの方々に事業に参加してもらうことでも四日市青年会議所の活動内容を知っていただくことはできます。しかし、それだけでは我々の運動の理解までにはつながりません。事前の広報だけでなく、運動の後にも我々の運動がどのような効果をもたらし、地域にどのような影響がもたらされたのかを伝えることで、より一層我々の運動を理解してもらうことにつながります。我々の運動が地域社会やそこに住む人々へとつながり、四日市青年会議所のファンが増える広報体制を目指します。

本質を捉えた組織の変革

時代の流れとともに、組織は変化をしていく。青年会議所も例外ではなく、2018年には日本青年会議所でもビジネスの機会を定款に盛り込み、四日市青年会議所においても2019年には育休、産休の規定を整備した。SDGsの目標にもあるジェンダー平等の実現を組織として目指すことは、四日市青年会議所の持続可能性にもつながっていく。このように、定款、規定に関しては時代に即しているかを見つめなければならない。組織の在り方は常に議論される問題であるが、青年会議所として絶対に変化してはいけない点もある。それは、明るい豊かなまちの実現を目指すという青年会議所の本質だ。我々は、青年会議所の本質を中心に据え、本質を外さない形で時代に即した組織へと変革していかなければならない。
 青年会議所とは青年が会って議する場である。会議は青年会議所活動において重要な位置を占めており、同時に、青年会議所における重要なトレーニングの場でもある。会議において、本質的な議論を推進し、活発な議論ができれば、自ずと組織は活性化され、時代に即した組織へと変革を遂げていく。

三重ブロック協議会事務局の主管と出向のすすめ

本年度は、8年ぶりに公益社団法人日本青年会議所東海地区三重ブロック協議会会長の輩出と事務局主管を担うことになる。四日市青年会議所として、この事務局主管を会員が三重県全体に視野を広げ成長できる貴重な機会と考え、積極的に出向を促していく必要がある。出向において、何よりも大切な学びは、視野を広く持てるようになることだ。我々は四日市青年会議所の会員であるが、自分たちのまちの発展だけを願えばいいわけではない。我々のまちが発展するためには、当然、三重県全体の発展がなければならず、東海地方の発展がなければならない。その上で日本全体が発展していかなければならない。だからこそ、出向は積極的に行っていかなければならず、出向に関わるすべての人を全力で支援していく必要がある。
三重ブロック協議会事務局主管で四日市青年会議所が今まで以上に注目されることは、一人ひとりの四日市青年会議所に対する帰属意識を高めることにつながる。四日市青年会議所を大切に想いながら同時に、出向先で遺憾なく力を発揮できるように、出向者とそれを支えるLOMの会員がお互いに尊敬し、尊重し合えるように支援を行っていこう。

おわりに

「本質」の追求に終わりはない。

「本質」の追求とは、物事に疑問を持った瞬間から始まる。

我々は成長、経験とともに常識という枠にとらわれ、あらゆることに疑問を持つことが少なくなっている。それは、成長の機会を自ら手放しているに等しい。疑問を持った時、それについて考え、分析し、調査し、自分の中で答えに辿り着いた時、我々は「本質」の一端に触れることができる。その時、必ず、世界が変わって見えるはずだ。

「本質」の追求に価値を見出せた時、自分自身の行動にも変化が起きる。一つひとつの物事に対し向き合い、意義を持って経験を積むことができるようになる。行動に移せる人財になることができる。

青年会議所は意識変革団体でもある。

自分の身近な人を変えたければ、まちを変えたければ、社会を変えたければ、まずは自分が変わらなければならない。人は変わろうと思っても、容易に変わることができない。それは、自分の経験の中にある様々な固定概念が邪魔をするからだ。自分を否定するものを素直に受け入れられないからだ。

だが、決して変われないわけではない。

「本質」の追求は、自分自身が変わるための道しるべの一つであり、その先には、必ず明るい豊かな社会が待っている。

「本質」を追求していこう。

経験に意義を見出し、行動に移し、社会を変えていこう。

スローガン

本質の追求
~経験に意義を見出し、行動に移そう~

基本方針

〇本質を追求し、行動する
〇青年会議所の本質を追求する会員拡大
〇青年会議所会員としての品格と人格向上の追求
〇本質を捉えた組織の変革

重点事業

〇創立65周年記念式典
〇持続可能なまちの魅力を創造する
〇思考力に富んだ青少年の育成
〇両国の本質的相互理解のための国際交流
〇青年会議所運動の本質を伝える、
 時代に即した広報活動
〇三重ブロック協議会事務局の主管と
 出向のすすめ