理事長所信

HOME > 理事長所信

第62代理事長 森寺奉仁

一般社団法人 四日市青年会議所 2017年度スローガン 継往開来

はじめに

 継往開来(けいおうかいらい)とは、先人より受け継いだ事業をさらに発展させ、未来を切り拓くことである。

 現在(いま)を生きる青年は非常に多くの遺産を受け継いで日々生活を送っている。早朝に家を出れば何不自由なく日本各地へ移動できる交通網、海外と簡単に連絡を取ることができるコミュニケーションツールがその最たる例である。この穏やかな社会において最も危惧されることは、日常を平時と捉え、継往開来の精神を忘れ成長を止めてしまうことだ。我々青年はいかなる環境においても、目の前の出来事を有事と捉え未来を切り拓かねばならない。それが我々青年に与えられた最大の責務であり、権利なのだから。

 青年の青年による青年のための組織、それが私の所属する青年会議所である。修練・奉仕・友情を信条とする団体であり、自らの人間力を高めることが結果的に「明るい豊かな社会」につながると信じている。その構成メンバーの多くは二代目・三代目と呼ばれる人間であるが、最近では多くの起業家や女性経営者、会社員も所属しており、生計の基においては先人より引き継いだ事業を基本とし、その事業を発展させることで地域において力強く生き抜いている。しかし今我々は岐路に立たされている。多くのメンバーはなぜ青年会議所活動を続けているのか、自問自答しながら日々を過ごしている。いやメンバーだけではなく、地域に住む青年経済人がこの団体に抱く印象は好意的なものだけではない。その家族・親族に至るまで、事業継承者がこの団体に入会する、また活動することにおいて否定的に捉えているではないか。これは多くの青年が現在の日常を平時と捉えているからに他ならず、全国的な会員数の減少として明確に表れている。人の数は力であり、規模は異なるがホワイトハウスが10万人の署名を集めた事案に対しては何らかのコメントを発信することは有名な話である。我々青年会議所が発信する運動は、常に青年らしく未来を切り拓こうとするものでなくてはならない。まちに住まう多くの青年で創り上げた提言であるならば、それはより力強い言霊となる。一人でも多くの青年が日常を有事と捉え、まちの未来を語り、先駆けて行動すれば「明るい豊かな社会」が自ずと引き寄せられると信じている。

まちの未来を創り上げる

 長期的に人口減少が予測されている。都市部への一極集中、少子化や高齢化、産業構造の変化など要因はさまざまであるが、我々のまちも例外ではない。近い将来必ず地域間競争が始まり、人口の増減において近隣市町村と優劣が生まれる。四日市市は30万人を超える三重県では最多人口を誇り、「適度な都会」として名古屋で働く方々が心地よく住み暮らすエリアとして、また三重県が誇るリゾート地である伊勢・志摩方面へのハブ都市として大きな可能性を秘めた地域である。現状に満足することなく、将来におけるまちのコンセプトを創り上げ、地域の青年一人ひとりがまちの未来を語り、先人より引き継いだものを発展させることで多くの人を惹きつける都市の魅力が実現するのである。

克服を発信するまちへの転換

 我々は自然と人間の営みが調和した持続可能なまちを実現するため、地域の皆様が身近に取り組める運動を展開して来た。四日市市は後世に公害の悲惨さを訴え意識変革を促す「四日市公害と環境未来館」を2014年に開館し、また教科書の記載に変更を求める運動も行っている。次代を切り拓く青年として我々も過去に公害があった事実に対する見方を変える時期に来ている。日本は技術面だけでなく、まちの外観からも世界で類を見ないほどの環境立国であるが、グローバルな視野において、自らが住まう地域だけを語れば環境問題が解決できると考えるのは時代錯誤である。このまちであった過去を広く発信し、主にアジアを中心とした次代を担う青年経済人の意識変革を促し、それぞれの地域で主体的に活動を行うことが、結果的に持続可能な将来をもたらすのである。

例会こそが最高の機会である

 全国の青年会議所は、月に1回以上の例会を開催することで多くの学びを得ている。地域の課題を調査し、その解決の為に手法を研究し、一切の妥協を廃して例会を創り上げる過程こそ、青年会議所が学び舎と呼ばれる所以である。各委員会は対外・対内に発信するこの例会に全精力を注ぎ、全委員の力を使って光り輝くダイヤモンドのように磨き上げてほしい。そして会員拡大において、例会を活用して対象者に我々の活動を知っていただくことは至極自然なことだ。しかし近年「60周年記念事業」以外は動員対象となっていない。交流や個別訪問だけでなく、我々の真髄に触れていただきながら未来を切り拓く青年が自ずと集う団体を目指す。さらに新入会員へのオリエンテーションにも例会を活用すべきだ。例会の背景を確実に把握し参加することでより深い学びを得ることができる。新入会員が例会内容を語り合う環境こそ最高のオリエンテーションである。対外の感覚で発信できる新入会員の意見は必ずやメンバーにも大きな学びをもたらす。例会という最高の機会を利用し、一人でも多くの青年に我々の運動を発信しよう。

組織の当たり前に疑問を持ち、会員のため常に進化する

 最近では定款と規定を混同している会員が数多くいる。定款とは組織の根本原則を謳っており、一般社団法人四日市青年会議所は組織としてこの定款を遵守しなければならない。一方規定とは、対内であいまいになっているルールや暗黙の了解を文書化・マニュアル化し、会議の運営や意思決定を円滑に行い、定款を実行するために自ら策定するものだ。最近では女性や設立間もない企業経営者、また企業に勤めている方もメンバーに迎え入れている以上、会務を運営する者は、メンバーのルールである規定に対して常に疑問を持ち、青年会議所運動に集中できるよう進化させなければならない。変えることを恐れず、削ることは削り、時代を切り拓く気概を持つことこそ青年であると信じている。

意志力を持ち、責任を望む青年の育成

 青年会議所は経済人が集う団体であり、人間力とは過去にとらわれることなく、失敗をも成功と捉え前を向き、物事を推し進めることだ。そのために我々が学ぶべきことは二つある。まずは意志力である。古くはアメリカ合衆国第16代大統領リンカーンが「Where there's will , there's a way.」と語り、日本でも「意志あるところに道は開ける」として語り継がれている。過去にとらわれることなく自ら高い目標を掲げ、達成できると強く信じることで物事は動き始める。次に必要な力は身の回りで起こること全てが自らの責任であると望む感覚である。これは否定的な表現ではない。身の回りで起こることは、全て自らコントロールできるという力を身につけることで物事が完遂する。意志力を使いこなし、自ら責任を望む青年が溢れることで、まちは飛躍するのである。

夢を見て現在を力強く生きる青少年の育成

 青少年を取り巻く環境は日々変化しているが、将来に夢を描く大切さは未来永劫変わることがない。夢は青少年に困難を乗り越える力を与える。特に昨年のリオデジャネイロオリンピックで多くの若者が活躍したことは記憶に新しい。女子レスリング吉田沙保里に憧れ終了間際で逆転勝ちした登坂絵莉、決勝で夢の存在であった本人と対峙し、サクセスストーリーを確立させたヘレン・マロウリス、彼女たちの力の源は幻想的な夢でなく、現在を生きる現実であった。青年として具体的な夢を青少年に届け、その夢に向かってひた走る姿こそ感動である。その感動がまた次世代へ伝わり、困難を乗り越え力強く生きる青少年の育成となり、力強いまちを創ると確信している。

SNSが青少年に与える影響を真剣に考える

 我々と今の小中高生では明確な違いが一つある。それは最も多感な時期にインターネット、そしてSNSに触れているかいないかである。我々は時にそれを否定しながら青少年育成事業を創り上げている。しかし一方的な否定は時代錯誤となりつつあり、当然ITの流れは今後も世界的に広がりを見せる。ここで現在を生きる青少年を取り巻く環境を調査し、我々の運動にとってSNS等がどのような影響を与えるのか明確にすることが、今後も続く事業の糧となり、青少年育成をより充実したものにするのである。

求心力のある団体へ

 青年会議所を構成するメンバーは企業や団体の代表者、またそれに準ずる方が多く、非常に強い個性を持っている。また会の特性として個人を尊重する風土が整っていることも個性を強調させている。この人種の坩堝のような団体において、会員1人ひとりが自立性を維持しながらも団結するためには凛とした求心力が必要である。凛とした求心力とは、その姿勢もさることながら、自分の考えることが全てではなく個の感覚を他人に押し付けない姿勢を持つことに他ならない。組織として凛とした求心力を持つことができたなら、強い個性を持ったメンバーが自然と集い、語り合うことができる。また家族や会社も青年会議所活動を続けるうえで、非常に大事な存在である。凛とした求心力の下において常識的な時間に活動が行われ、経済人として自信を持って運動内容を語ることができたなら、決してその存在は否定されることがない。メンバー1人ひとりの行動が組織に凛とした求心力をもたらし、成長の機会を多くの青年に与えることで、より個の成長を促す団体へと進化できるのである。

国際交流を未来に引き継ぐために

 雨港國際青年商會との交流は成熟期を迎えており、本年度は姉妹締結を行う本来の目的に立ち返るべきだ。姉妹締結の目的は、海外交流・文化交流・事業交流の促進を通じて、両国の経済発展に寄与すると共に、日台両国の相互理解と友好を深めることだ。メンバーにとっては、交流を通じて視野を拡げ、グローバルな感覚を身に着け、社業を発展させるための貴重な機会でもある。しかし多くのメンバーは本来の目的を見失っている。その理由はコミュニケーションツールの多くがお酒に寄与している点、また長きにわたる交流の文化が会員の置かれている経済環境とそぐわず、参加率の低下を招いているからだ。歴史を踏襲するだけでなく、現在(いま)を生きるメンバーで姉妹締結を真剣に考え、次世代の青年にも国際交流の機会を引き継ぐことで真の友情が育まれるのである。

出向のすすめ

 出向とは非常に魅力的な制度である。県内だけでなく、県外のメンバーと交流を深めることができ、また他LOMと比較して見識を深めることもできる。2014年度には公益社団法人日本青年会議所東海地区協議会会長を輩出し、2016年度には日本JCじゃがいもクラブ中日本地区大会を主管した。そして2017年度は我々のスポンサーである公益社団法人名古屋青年会議所から会頭が輩出される。この期を捉え、全国で活躍する同志との関係を深めることは若いメンバーにとって刺激になることは間違いない。積極的に出向を活用し、そこで得た学びをLOMで活かすことで、さらなる飛躍を目指して参りましょう。

効果的な広報活動

 2013年に広報マニュアルを策定し、その内容を実践することで当団体は以前より地域に周知され始めている。この動きをさらに促進し、より地域から愛され信頼される団体を目指す。効果的な広報活動とは、複数の媒体に対してやみくもに情報を発信することではなく、事業対象者が情報をその手に受け取る瞬間まで明確に想像できる広報のことである。そして身近な人に対して広報活動を行うことも大変重要だ。メンバー1人ひとりが自信のある運動を展開し、家族・会社でも目を輝かせて青年会議所を自然と語ることができれば、地域に根差した団体として認知されることは間違いない。

おわりに

 現在を生きる青年は、日々接する地域の経済だけでなく、簡単に国境を超えるグローバル社会、欲しいモノ・欲しい情報が一瞬で手に入るIT社会、個人でも巨額の報酬を得ることができるマルチプル社会に身を委ねている。この複雑な時代において、地域に運動の主軸を置いた青年会議所活動に対して多くの時間とお金を投資することに疑問を感じることは至極当然である。  このような環境下、青年会議所活動を行う意義はどこにあるのか 青年会議所は学べる組織ではなく、学ぶ組織である。受動的に日々を過ごしていては、何も得ることなく卒業を迎えるだろう。この先の人生において、青年会議所で過ごした日々はかけがえの無い宝物になると信じている。世のため人のために運動を展開し、40歳までの限りある時間で最高の恩返しを生まれ育ったこのまちに行いたい。「与えよ、さらば与えられん」、この見返りを求めない奉仕の心こそ、私が青年会議所活動を行う最高の動機であり継往開来の精神でもある。このまちに住み暮らす青年として常に最高の機会に接し、一つでも多くのことを学ぶことができたなら、「明るい豊かな社会」は自ずと訪れるのだから。

スローガン

継往開来

基本方針

○継往開来の精神
○まちの未来を創り上げる自覚と行動
○最高の例会を創造する
○凛とした求心力を伴う行動

重点事業

○まちの未来を描くコンセプトの創造
○克服を発信するまちへの転換
○例会を活用した、全会員による会員拡大
○意志力を持ち、責任を望む青年の育成
○具体的な夢を持ち力強く生きる青少年の育成
○SNS等が青少年に与える影響の調査
○次世代へ引き継ぐ国際交流